こんばんは。まことです。
今日は僕と麻雀の話その2です。
前回はコチラ☟
麻雀狂い~大学時代中期~
雀荘へ~新しい世界への扉~
前回のお話で賭け麻雀を覚えた僕。
あのピリピリとした勝負に味をしめ、大学の友達連中とやるときもお金をかけるようになりました。
お金が欲しかったんじゃありません。どれだけ勝っても1日の食費で消えるくらいの金額です。
ただ、みんながいつもより真剣なのが嬉しかったのです。
まわりも徐々に成長し、完全にハマってました。サボれるタイミングで授業をサボり、友達の家に集まって麻雀。いつも4人単位で授業から抜け出す僕たちは、今思えばなかなか滑稽ですね。
けれど、友達がどれだけハマっても自分の方がもっとハマってたし、やっぱりこの頃も自分が勝ち頭。楽しくて楽しくてハマっていく一方でした。
そんなある日、麻雀の約束をしてた2人が急にこれなくなりました。残された僕と友達は、麻雀やりたくてしょうがないのに、やれなくなってしまった。
困った僕達でしたが、ふたりとも一つの解決策を思いついていました。
そう、世の中には「雀荘」というものがあるのです。
行ったこともないしよく知りもしないけど、そこに行けば、麻雀が打てるだろうことだけはわかっていました。
ならば行くしかない。
知らない人と打つことやタバコふかしてるコワモテのおっちゃん達が怖くないわけではなかったですが、そんなことよりワクワクの方が勝ってました。
一番近くの雀荘をリサーチし、早速GOです。
お店の前に着くと、とても心臓がドキドキしていました。強い人がいそうだから?怖い人がいそうだから?打てないと思った麻雀が打てるから?
どんな人が迎えてくれて、どんな空気感で、どんな人達が打ってるんだろうか。
そして、勝てるんだろうか。
家族、友達の枠を越え、今までよりもっと強い相手と戦える。そのことに心底ワクワクしてました。
なんか悟空みたいですね。
2人でおそるおそるお店に入ります。
チャリンチャリン、
「いらっしゃいませー!」
目に飛び込んでくる何台もの雀卓とそれを囲む人々。
テーブルに案内され、おしぼりとドリンクを出されました。たどたどしい僕たち、集まる視線。
「なんだなんだ初心者か?」
そう思われてるようですごい居心地悪かったです。
ルールを説明され、いよいよご案内になりました。
初めての全自動雀卓に感動したのも束の間。
牌を持つ手が震えます。喉カラカラでポンの声が出ません。
ひどく緊張していました。
なんとか打っていると、数巡後、僕の切った牌にロン(アガられること)がかかりました。
やっちゃった、いきなり負けちゃう…。
緊張はピークに達していました。
「5800点。」
「はい…。」
点棒を払おうとしたその刹那。
……え?
アガったその人の手を見て目を見張りました。
僕の知らない、というか考えもしなかった形のアガリだったのです。
なにそれ、意味わかんねぇ…。
そう思ったつぎの瞬間。電流が走りました。
え…?そっちの方が……強い…!?
その人のやろうとしたことが理解できました。
そして同時に、緊張とか、アガられた悔しさとか、全部吹き飛びました。
家族や友達と打っていても一度も出会ったことのない、僕の知らない戦術を、雀荘で一人目に出会ったそのお兄さんはいきなり使ってきました。
このとき僕は初めて感じたのです。自分が見ていた世界の狭さ。
麻雀を好きな人だけが集う、この「雀荘」という場所にはまだ見ぬ強者がたくさんいること。
ここに来ればまた強い人に会える。そして新しいことを学べる。
この日から、ぼくは麻雀の深淵に沈んでいくこととなりました。
誰にも負けるもんか
「 強ェッ‥‥!!」
そう思える相手と出会ったことに僕は心底喜びを感じていました。
次から次へと出てくる新しい技術や考え方。
それに触れる度、グングン自分が成長していくのがわかりました。
雀荘つながりで、自分の人生にどんどん麻雀強い登場人物が増えていきます。
やっぱり自分が知らないだけで世の中にはこんなに強い人たちがいたんだ。
一気に世界が開けた感じがしました。
そしてまた、どんどん麻雀が好きになっていくのを感じていました。
そして、
「絶対に負けたくない。」
どれだけ強い人たちとやってもどんなときでもそう思っている自分がいました。
強い人の後ろで見たり、本を読んだり対局番組を見たりして勉強しました。
やればやるほど、自分のダメなところが見えてきて。そのたびにまだまだ伸びしろがあることが嬉しくて。
そうやって、
「強くなりたい、この人たちに勝ちたい」
ただそれだけを考えていました。
僕は実はこの時期の記憶がほとんどなくて、あるのはただ「麻雀強くなりたいと思ってひたすら麻雀に向き合ってたな」というぼんやりした記憶だけ。
昔を思い返すと本当にこの時代だけ何も思い出せません。
思い出がなにもない。
それくらい無我夢中で試行錯誤を重ねていました。
主人公だった僕
麻雀をやってるときにひとつ思っていたことがあって、それは、
「麻雀してるときの自分て主人公だな」
てこと。本当にそう感じていました。きもいですね。
あんまり自分が一番だって言えることってないじゃないですか。
でもこのときは、自分が周りのだれよりも麻雀が好きだと胸を張れたし、一番成長に貪欲だし、一番最後まであきらめず戦っていました。
そして、逆転劇を起こす度に、「ああ、おれ主人公だわ」とそう思っていました。
あーきもいきもい。
麻雀中毒
そんなこんなで雀荘の魅力にどっぷりつかってしまった僕。強い人たちと出会い、そこで勝ち残るために、本を読んだり中継をみたりして勉強し、着々と新しい技術と知識を習得していきました。
『天牌』という麻雀漫画の言葉を借りるなら、
こんな状態です。
ひたすらに強くなりたい。その欲望に応えてくれる仲間がいる雀荘へと、生活の中心はシフトしていきました。
授業にはますます行かなくなり、ちらほら単位を落とし始めました。
起きたら雀荘に行き、疲れたら帰って寝て、起きたらまた雀荘に向かう生活。
大学の友達からの麻雀の誘いすらも、のらりくらり断って雀荘に行くようになりました。
レベルの差が開きすぎてしまい面白くなかった。そのときの僕は、友達付き合いなんかより、楽しく麻雀できることが優先でした。
そんなうち、ひとり、またひとりと、友達は離れていきました。
でも、麻雀の話ができない友達と話してもしょうがない。
自分が求めているのはうわべだけの友達じゃなく、「真に麻雀の話ができる仲間」。
その時は本気でそう思っていました。
そのうち、雀荘仲間の間でも僕の情熱は頭一つ抜けていることがわかってきました。
ひとりのやつが、「もう麻雀飽きたよ~」とか冗談でも言おうものなら、
「本気か!?飽きるほどやってねぇだろ!!そんなもんかよ!!」と本気で食ってかかりました。
そんなことがある度、誰かおれと同じくらい麻雀好きなやつはいねーのかな、そう思って寂しい思いをしていました。
誰よりも打って、誰よりも好きな自信があった。
誰と会話しても、麻雀の話しかしないし、出来ない。
毎日繰り返す、麻雀、麻雀。
でも、それで幸せでした。
麻雀に夢中になればなるほど、俗世から隔離されていくのがわかりました。
後戻りできない感覚。
そんな生活を続けるうち、僕はまわりから「麻雀中毒」だと揶揄されるようになりました。
麻雀を続けていると他のことはどんどん疎かになっていく。わかっていても、辞めようとは1ミリも思いませんでした。
そしてなにより、辞められる気がしなかった。
今麻雀を取り上げられたら、ほかに何をしろっていうんだろう。麻雀以外に何の楽しいことがあるっていうんだろう。
辞め方を知っている人がいるなら教えてほしい。
本気でそう思っていました。
やればやるほど、夢中になればなるほど、頭の中は麻雀、麻雀、麻雀。
そんな風に、麻雀を強くなることだけを考え、麻雀一辺倒だった日々は、ある日唐突に終わりを告げられるのでした。
最後に
最後の方は、書いててちょっと恐ろしかったです。こんな時代もあったなぁ。
このシリーズは思い入れのある事なので長くなってしまいがちですね。
では今日はこの辺で。おやすみなさい。