こんばんは。まことです。
今日は留年した話part4です。
バックナンバーはこちら。
前回までのあらすじ
麻雀にのめりこみすぎ留年。どれだけ頑張っても、もう元通りのレールには戻れないと悟った僕は絶望しました。ついに大学へ向かうことが出来なくなり、 実家へ。留年し、大学をほったらかして帰ってきたどうしようもない僕に、ゆっくり休め、と声をかけてくれ、大切にしてくれる家族の温かみに、久しぶりに安らぎを感じたのでした。
では始めます。
現実逃避とニート生活
ゆっくり休め、の言葉通り、僕はその日から実家でゆっくり過ごしました。なにをするでもなく、1日1日をのんびり、マンガを読んだりゲームをしたり。ひらたく言えばニートです。勉強しなきゃとか、まわりに追いつかなきゃみたいなことをなにも考えずに済む日々は、僕に安らぎを与えました。両親が仕事へ、弟が学校へ行くのを見送り、何をするでもなく過ごしました。あんなに毎日胸騒ぎがした心には安寧が訪れ、弱りきっていた僕の心は次第に回復していきました。
家族は、やはり気を遣っていたのでしょうね、とくになにも言わずにいてくれました。
そうやって2ヶ月ほどの月日が経ち、年末を迎えようとしていました。
埋まらない理想の自分とのギャップ
やっとの思いで得た心の平穏。ただごくたまに、その平穏が脅かされる瞬間がありました。「これからのこと」を考えるときです。日中はひとりで過ごすので考え事をする時間が多くなり、必然的に未来のことを考えることになります。
大学はどうするのか、仕事はどうするのか。
ずっとこのままでいいと思っていたわけではありませんが、先のことは考えたくなかった。考えるだけで動悸が激しくなりました。
大学にはとても戻れるとは思えませんでした。
1年生から一度も勉強したことがなかったので知識の蓄積がありません。そんな状態で3年生の専門科目に、しかも友達なしで、立ち向かっていける気は全くしませんでした。文系を選んでおけばな、なんて本質的じゃない嘆きをしたこともありました。
いつやめるか、時間の問題でした。
仕事のことはあまり考えていませんでした。というより、考えないようにしていました。大学に戻るという選択肢は考えられない今、仕事のことを考えるというのは具体的に未来について考えるということです。それを考えようとするたび、「留年」という想定外の最悪なレッテルが貼られた人生を想像しなければならず、気が滅入りそうになります。だから、考えないようにしてました。
なんの具体性もなく、公務員にでもなろうかなぁなんて考えていました。全然なりたかったわけではないです。ただ、公務員目指そうと自分に言い聞かせて、心の安寧を保っていただけ。
大学になんて戻れるわけないし、第一戻ったところで「留年」という肩書きつき。
大学を辞め、公務員試験受かったって「大学中退」。なんの仕事をしたってそれを抱えて生きていかなきゃいけない。
どうやっても、やっぱり昔思い描いた理想の自分は手に入りそうもありません。
実家へ逃避しても、やはりつきつけられたこの逃れようのない真実。
自殺、しようかな…。
生まれてはじめて検討しました。今考えるとさすがに思いつめすぎに感じますが、当時は本当にそれくらい絶望していた。
自分は人生に失敗した。
もう手遅れ。
どうやっても埋まらない理想とのギャップ。
埋まらないのなら、終わらせてやる。
理想の自分との乖離を埋めてくれるただ一つの方法に感じました。それほど真剣に考えていたわけではありませんが、それでも方法は睡眠薬+首吊りだなってところまでは行きました。
でも結局、踏ん切りがつかないまま、かといって今後を考えることもせず、両親に甘えのんのんと生きながらえていました。
決断
年明けのこと、高校のクラス会がありました。クラス会とかはあまり好きじゃないけれど、どういう風の吹き回しか、暇だったのでしょうね、そのときは行くことにしました。
そして、これがひとつ転機になりました。
久しぶりに会う高校の友達たち。笑いあっていると、高校時代の思い出がよみがえってきます。受験期には大学の話をたくさんしていました。
「志望校どこよ」
「すべりどめどうしよ」
「何判定?」
当たり前のように大学にいって、当たり前のように卒業するんだろうな。
そう思っていたころの自分の記憶を思い出しました。
そういえばおれ、大学に行きたかったんだよな…。
考えてみれば小学生のころから言ってました。
「将来の夢?大学生だぜ、ハハ!」
そこに深い理由はなかったけれど、その思いは幼いころから確かにあったのでした。
大学に戻ってみようかな…。
ここ何ヶ月か、大学なんて思い出したくもない場所だったのに、初めてそういう気分になりました。
そこから、今まで目を背けていた「今後」を真剣に考えるようになりました。
でもやっぱり具体的に考える事はそのときの僕には難しかった。どうしても暗い気持ちが出てきてしまう。
でも、ひとつだけ確かなことがわかりました。
このまま生きていくとして、おれは大学を卒業していないおれを許せないなってこと。
あんなに大学大学言ってたおれが?卒業してない?中退?ありえない。
そんな人生に「幸せ」はない。
自分の思う「幸せ」のためには、大学は卒業しなければなりませんでした。
今後どう生きていくかはわからないけど、とにかく大学は出ておかなきゃ自分で納得ができない。
ボキ、ボキといろんなものが折れた僕の心に、一本だけ立っているものを見つけました。とりあえず、大学だけは頑張って出てみよう。そういう気持ちになりました。
「なんとなく」でなにもかもを決めて、一度も自分で決断したことのない人生を歩んできた僕。
理想とのギャップなんてどうでもいい。
まわりに留年と指をさされようがどうでもいい。
すべては自分がどう思うかどうか。自分が人生をどう生きていくかどうか。
20歳にして生まれて初めて、僕は”決断”をしました。
「大学にもう一度行く」という決断を。
⑤に続きます。
おわり